根管治療とは
歯の神経がある部分を根管(こんかん)といいます。
虫歯が進行して、侵食された神経の治療や、歯の根に溜まった膿を取り除く処置を根管治療といいます。
治療回数は、菌の侵食状態や根管の形態に個人差がありますので、1~6回と様々です。
また、歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を用いて、根管の中の治療をすることを総称してマイクロエンド(Microscope Endodontics)と呼んでいます。
根管治療の成功率
アメリカでは90%以上の成功率が普通ですが、日本では約60%以下が平均といわれています。
下のグラフは、処置後のレントゲンで病変が見つかった比率を表しています。50~74%の歯に病変が見つかりました。つまり日本従来の根管治療の成功率は26~50%ということになります。
根管処置歯における根尖部X線透過像の発現率(2005.9〜2006.12 東京医科歯科大学)
この違いは、保険制度にあります。 日本で行う根管治療は保険が適用されますが、アメリカでの根管治療は、自費診療が主流です。
保険 | 自費 | |
---|---|---|
マイクロの使用 | 使用することもある | 必ず使用する |
ラバーダム防湿 | なし | あり |
時間 | 30分程度 | 1時間 |
使用する機材 | ||
根充 | 側方加圧充填のみ | 側方加圧充填および垂直加圧充填 |
診療中動画 | 患者様への公開なし | 患者様への公開あり |
保険ラバーダム:使用することもある
くろさわ歯科医院が行う米国式根管治療
米国式根管治療とは
歯の形態には個人差があり、根管の形態まで様々です。
さらに、歯の根の中は細くて暗いため、肉眼で見ることは困難です。
くろさわ歯科医院で行っている「米国式根管治療」では、保険診療では使用しない機器を使用し、根管治療を行います。
米国式根管治療の手順
1.CT撮影・診断
歯科用CTにてレントゲン撮影を行います。
従来のレントゲンと違い、3次元の画像を撮影することができるため、根管の状態や形態まで詳しく調べることができます。
2.ラバーダム防湿
根管治療は、治療中に根の中に唾液や歯垢が入ってしまうと、成功率が下がり、再発を繰り返してしまいます。
そのためラバーダムというゴム製のシートを被せ、金具で治療する歯のみを固定します。
細菌が歯の根の中に入らないよう、湿気を防いだ状態で治療を行います。
3.歯の神経を消毒
菌に感染した歯の神経を残さず取り除きます。
歯の神経の管は、通常前歯と小臼歯で1〜2本、大臼歯は1〜4本あります。
歯によって、また人によって本数が違います。この神経の管一本一本を丁寧に消毒します。
消毒しきれないと、痛みが残ったり再発する恐れがあるので、マイクロスコープを使用して丁寧に行います。
マイクロスコープで約20倍に拡大した歯の写真です。
4.神経の形を整える
歯の神経の管はとても複雑な形をしています。
根の先端に薬を入れやすくするため、専用の器具を使用して形を整えます。
5.薬を隙間なく詰める
ガッタパーチャ(ゴムのような固体の薬)を、隙間ができないよう詰めます。
神経がなくなった歯は菌に再感染しやすくなります。
細菌が入り込む隙間ができないよう、ガッタパーチャを詰め込みます。
このガッタパーチャを詰め込むことを、根管充填といいますが、2種類の方法で行います。
◆側方加圧充填
ガッタパーチャを固体のまま詰め込み、横から圧力をかけて押し詰める方法
◆垂直加圧充填
ガッタパーチャを半固体に溶かし、根の先からフタをするように詰め込む方法