インビザライン(マウスピース矯正)
矯正治療の現在について
日本はアメリカに比べて「矯正治療後進国」と言われることがあります。
アメリカでは年間矯正治療件数が6,000,000件を超えていますが、日本はその5分の1-30万人にとどまっています。
これは統計上では、
アメリカ= 2万人/1,000,000人 日本= 2000人/1,000,000人
と言う明らかに矯正治療と言うもの自体が日本にはあまりなじみのない浸透しにくい垣根の高い治療になってきていることがわかります。
ただし、新型コロナウイルス感染症の情勢から、日本でも歯に対する審美性への要求も徐々に関心が高まり、最近では治療よりも審美を優先した治療の需要が高まってきています。
(多くの芸能人もテレビに出ている方でもインビザラインをやっていると感じることが多くなりました。)
最近の統計では、患者様の歯科治療に対する要望の変化として、100人中50人以上の方が自分の歯並びを気にされているという結果もあります。(53.5%)
インビザライン(マウスピース矯正)とは
矯正治療の方法の認知度として、ワイヤー矯正だけではなくマウスピース矯正も世の中に浸透しはじめてきました。矯正治療が徐々に治療を受けやすく、入手しやすいものになりつつあります。
近年、海外最大大手企業が、「インビザライン」と呼ばれるマウスピース型矯正装置を新しく開発しました。
最近では、「インビザラインgo」と呼ばれる、奥歯を動かさず前歯から小臼歯まで20本の矯正治療をリーズナブルに提供できるような治療体制を整えることができるようになりました。
本来、矯正治療と言うと、ワイヤーを使ってしっかりと固定し歯を動かすこととして認知されがちですが、矯正治療を希望しているおよそ大半の方が マウスピース治療よって歯並びの改善ができるのです。
インビザラインでの歯列の動かし方
マウスピース矯正では、数十個のマウスピースを段階的に交換していくことによって歯を1本ずつ動かしていきます。
マウスピース矯正に使用するマウスピースのことを「アライナー」と言いますが、このアライナーは術前の型取りのデータとメーカーの治療データをもとに正確に割り出された歯の移動をシミュレーションして、理想的なゴールに治療が円滑に進むように作られています。
術前の型取りから始まり、コンピューターシミュレーション上で最終形が見えているため、それに基づいてマウスピースを加工して自分自身に合ったマウスピースを利用することができるようになります。
インビザラインは1週間に一回のアライナーの交換によってご自身での矯正治療を促すことができます。
ブラケット矯正治療に比べると、調整時間や調整回数が少ないため、自分のライフスタイルに合わせた矯正治療を受けることができます。
通院回数が少ないので、「治療期間が長くなる」「矯正治療で通院するのが難しい方」もとても向いている矯正治療になります。
インビザラインのラインナップ
1.インビザライン・コンプリヘンシブ・パッケージ
前歯から奥歯にかけてすべての歯牙に対応したインビザラインになります。
不正咬合と呼ばれる歯並びの大半がこちらのプランで改善対応することができます。
万が一、仕上がった歯並びに不満があった場合、治療開始から5年間の間は無制限でマウスピースを追加でご提供することができます。
時間はかかりますが細かい部分までインビザラインを通じて歯を動かすことができるようになります。
このように追加アライナーを無制限にできるのがこのコンプリヘンシブパッケージになります。
<コンプリヘンシブインビザラインの特徴>
歯の移動量が多く必要になったり、あるいは正中の合わせ方を細部にわたって管理したり、もしくは歯並び自体が反対咬合になっていて歯の移動量が多かったりした場合は、やはり奥歯を含めた包括的な治療が必要になるため、goよりも治療効果が上がると思われます。
自分自身がどんな歯並びでどんな治療方法があるのか、実際にインビザラインを専門に取り扱っている歯科医師に相談をしてみて、自分が取りにが1番合っているのかを知ることが大切です。
2.インビザライン・ライトパッケージ
コンプリヘンシブパッケージに比べて、使われるアライナーの枚数が限定されてきます。
ライトパッケージの場合は、合計14枚になります。14枚の中でご自身の歯並びを改善できるタイプの方にはオススメです。
ただし、対象となる患者様が限定されてくると言う事、実際にマウスピースを使うことによる移動量が限られていることを勘案すると、かなり限定された治療方法になります
そのため大きく動かしたりするような重度な症例には不向きといえます。
また、追加アライナーは【2年間の間に2回】と限定されているため、症例に応じた適応症を検討する必要があります。
3.インビザライン・エクスプレスパッケージ
こちらは、ライトパッケージよりもさらにアライナーの枚数の少ないマウスピース矯正になります。
ライトパッケージ以上に適応症が限定されてくるため、軽度な歯並びの改善でしか適応できないと判断されます。
また、追加ライナーに関しても1回分しか適用されないため、適応症となる方は、歯の移動量を最小限に必要とされるような、簡単な症例でないと適用ができないと思われます。
4.インビザラインgo
奥歯の大臼歯部と呼ばれる6番目7番目の移動ができませんが、前歯上下合わせて20本を矯正治療で動かす方法です。
こちらの治療に関しては、奥歯の方法状態が良ければ、前歯から小臼歯にかけての治療や、不正咬合を改善できる方法になります。
特に前歯の部分の歯並びだけを考えられている方は、この治療方法はかなりお勧めです。
こちらもインビザラインコンプリヘンシブパックと比べると、対象となる患者様は限定されますが、適用が可能であれば安くきれいに仕上げられる方法です。
こちらも追加アライナーが限定されてきますので、十分な適応症の見極めが必要となってきます。
インビザラインgoの特徴
インビザラインのラインナップの中で、特に人気の高いインビザラインgoのについて詳しくご案内いたします。
従来のインビザラインとの違い
従来のインビザラインと違う点は、「奥歯の噛み合わせが正常に近い場合、前歯から小臼歯と呼ばれる奥歯にかけてのみを動かす」といった治療方法にあります。
この適用になる方が10人中、2〜3人の割合で存在することから、こういった簡単な治療に関してはインビザラインgoで改善する見込みがあることがわかってきました。
矯正治療を希望される、もしくは適応される患者様のうち、およそ49%(半数近く)が「クラスI不正咬合」という比較的軽度な歯列不正であることが文献上でわかっています。
本来矯正治療と言うと、ワイヤーを使ってしっかりと固定し歯を動かすことが認知されがちですが、矯正治療を希望しているおよそ大半の方がマウスピース治療よって歯並びの改善ができるのです。
このインビザラインgoシステムは以下のような特徴があります。
- マウスピースを装着することで、継続的に軽い力が加わり、歯を最終位置まで位置づけ少しずつ移動させていきます。
- マウスピース1枚につき、移動量は最大0.25ミリになり、強い痛みを伴わない歯の矯正治療になります。
- マウスピースは、食事・歯磨き時全て取り外し可能な可撤式矯正装置になります。
- 1日20時間以上を装着し、1週間から2週間に1度そのマウスピース(アライナー)交換します。
- 1週間ごとにアライナーを交換すると、最大20ステージまで活用でき、治療期間はおよそ3ヶ月から5ヶ月で完了することになります。
比較的軽度の方に適用されるもので、期間や手間が省ける分だけ、コストや費用を下げることもできます。
インビザラインgoの適応症
- 歯の移動範囲=第2小臼歯(5から5)間(上下顎)
- 叢生/空隙片顎での移動量7mmまで
- 拡大/片顎につき4mmまで
- オーバーバイト(ディープバイト/オープンバイト)の改善5mmまで
- 正中線の移動1mmまで
- 前歯部のクロスバイト2本まで
と、歯の移動制限が設けられており、こちらがインビザラインとインビザラインの決定的な違いになります。
ただし、この制限によって仕上がりが悪くなるのではなく、その人に応じてこれが適用することができると言うことなのです。
わかりやすく言うと、歯並びがもともと綺麗な状態で、少し改善すれば理想的に仕上がる形の場合は、インビザラインgoで十分に対応できると言うことです。
インビザラインの流れ
Start1 インビザライン無料相談
当院ではインビザラインの無料相談を行っています。インビザラインの詳しい内容や、他の矯正治療との違い等ご案内いたします。無料相談の担当は副院長の前田が承ります。
インビザラインで矯正をお考えの方には、カウンセリング(有料)も行っております。
現在のお悩みをお伺いし、
- 歯並びの症状
- 噛み合わせの状態
- 歯周病の検査等
を行い実際にインビザラインが適用かどうかについてのご案内を差し上げます。
インビザラインカウンセリングの料金は以下のとおりです。
- 保険診療範囲内でレントゲン撮影のみ行う(保険診療初診料+レントゲン写真代料= 3,000円位)
- インビザライン審査診断(型取りシミュレーション代):33,000円(税込)
Start2 模型診断・画像診断
お話をお伺いし、お口の中の型取りを行い実際に模型上でお口の中の状態を再現します。
また、iTEROエレメント5dと呼ばれる光学印象を用いて3Dシミュレーションを行い、実際にお口の中の状態を拝見させていただくこともあります。
模型や画像診断をもとに、目で見て判断し、実際に客観的に自分の状態を把握することができるので
マウスピースの治療による治療の最終ゴールについてより自分自身で判断しやすくなることができます。
Start 3 CTレントゲン診断を行います
当院では、矯正治療を行うにあたってCT診断を行います。
これは、骨の状態や骨に埋まっている歯の状態を比べ、
- 動きやすいのか
- 動きにくいのか
- 動かすことによるデメリットやリスクがあるのか
を判断するための大きな重要な診査診断になってきます。
特にCT画像でわかることとして、
- 歯並びや骨の中に埋まっている歯の状態
- 顎の形態
- 歯周病の状態
- 噛み合わせの状態
- 歯の根本の膿の袋の状態
など、様々な症状や状態を確認することができます。
Start 4 データをもとにインビザラインのデザインを行います
データでスキャンしたものや、形を撮らせてもらった模型をもとに、実際に適切な歯並びになるようにデザインをしていきます。
この際にデザインを何点かご用意させていただき、患者様のご納得いただくデザインに合わせて治療を調整していきます。その際に必要な歯を削る量や、アライナーの枚数に関してご相談差し上げて治療を計画していきます。
Start5 インビザラインクリンチェックの相談
インビザラインで設定したいくつかの歯並びのデザインを患者様に見ていただきます。
歯を動かすにあたっては、理想的な形態はもちろんご本人のお望みとなる理想的な歯並びに調整しながら合わせて行きます。
コンピューターシミュレーション上で理想的な歯並びを設定するため、ここでご自身の希望のオーダーメイドを行います。
<どうしても歯を削る様を少なくしたい場合>
歯を削る量が少なければ、歯を並べることはできますが、前歯が少し外に出やすくなってしまうことがあります。ただし、その人の表情や笑顔の雰囲気に応じてそれでも条件として合っていることもありますので、歯を削ることあるいは歯を並べることに関してはじっくりとご相談をさせていただきます。
また、マウスピース治療の期間を少し長くする=アライナーの枚数を増やすことによって、歯の移動量をもう少しだけ多くすることができるので、より細かな部分を再現性よく治療をご提供できます。
その人固有のお口の中の状態に合わせて、お口の中の治療方針を変えご自身の満足いくまで相談させていただいて決めていきます。
Start6 一般歯科治療/クリーニング
必要に応じて一般歯科治療を行うことがあります。
小さな虫歯であれば経過を見ていきますが、大きな虫歯があったり、歯を支えている骨が弱く歯周病に罹患している場合、マウスピースで動かしている際に痛みが出たり歯がぐらつきやすくなったりすることがあります。
このリスクを防ぐため、虫歯の治療や歯周病のケア噛み合わせの調整等の初期治療を行うことがあります。
将来的に歯を並べてから新しく被せ物をかぶせるようにした方が良い方もいらっしゃいますので、その症状や矯正治療の期間や処置内容に応じて、一般歯科処置を施すタイミングをお伝えいたします。
Start7 インビザラインgoの作成
矯正治療の治療計画が確定次第、 アライナーの作成に入ります。この際に適合精度の高いアライナーを作成するため、作成工程に2ヶ月から3ヶ月の期間がかかる場合があります。
到着次第、当院から患者様に直接ご連絡をしまして、受け取りと装着方法についてのご説明をいたします。
Start8 インビザラインgoのお渡しと治療スタート
マウスピースをお渡しする際に、歯の移動をより効果的に引き起こすため、歯の表面にアタッチメントと呼ばれるプラスチックを付与します。(これはすぐに除去できるもので、歯に傷つけたりするものではありません。)
また、取り外し着脱の方法についてもしっかりとご説明の場を設けます。
矯正治療の場合、歯を動かすスペースが必要になるので、患者様によっては歯と歯の間の隙間の部分に0.2ミリから0.5ミリの隙間を作るため、歯を削らせていただく場合もございます。
アライナーはなくすと治療効果が激減してしまうため、取り扱いに注意が必要です。
Start9 クリーニング/メンテナンスチェック
マウスピース矯正治療の効果を激減させてしまうもう一つの要因に、歯石がついてしまったり使い方を十分に理解しないまま利用していることが考えられます。
歯を動かすために作ったスペースが歯石で埋まっていると歯は動きません。
また、マウスピースもしっかりと「カチッ」と歯の表面全体にはまることがなければ、治療効果が激減してしまいます。
そのため、患者様と歯科医師とのコンプライアンス(約束事)がしっかりとなされているかどうかチェックを含めて、当院に通っていただくこともございます。
Start10 アタッチメント除去、咬合調整/リテーナーお渡し
歯を動かす治療が終了した際には、アタッチメントと呼ばれるプラスチックを除去し、歯の表面を研磨します。
噛み合わせのあたりの強いところに関しては噛み合わせの調整も行います。
その後、審美的回復・機能的回復ができた時点で、今後歯が動かないようにするための装置(=リテーナー)をお渡しいたします。
インビザラインを使用している最中の注意点
インビザラインは、使う時間が長ければ長いほど治療効果が大きく発揮できます。
使うことを習慣にしていることで治療効果に差が出てくるためです。
その一方で、マウスピース矯正ではアライナーの使用方法について十分に気を使わなければなりません。
アライナーの使用方法や洗浄方法には、以下のような注意点があります。
▶︎アライナーの特徴と注意点
- 水を除き、アライナーを使用したまま飲食等はしないでください。
- アライナーは1日20時間以上使用しないと効果が出てきませんので必ず使用してください。
→飲食と歯磨き以外の時は就寝時も含め必ず使用してください。装着時間が短いと移動が達成されません。 - 装着期間:1ステージ:アライナーの装着期間は7~14日間です。担当医から指示された装着期間を十分に守ってください。
- 交換のタイミング:新しいアライナーの交換は就寝前が効果的です。
▶︎アライナーの洗浄方法
- 1週間に一度、または必要に応じてアライナー専用の洗浄液の使用をおすすめします。(別販売:インビザライン・クリーニング・クリスタル)
- お湯での洗浄は控えてください(変形の原因になります)
インビザラインQ&A
Q1.矯正治療中に痛みはありますか?
→ 痛みはワイヤーに比べますとほとんどありませんが締め付けられるような感覚や 指なので押されるような感じは実際に生じることがあります。
正しい強い痛みは生じ日常生活に支障をきたさない程度だと思われます。
Q2. 虫歯はあるのですが治療はできますか?
→矯正治療中に 虫歯の治療を行うとインビザラインのアライナーが入りにくくなるため矯正治療前に一通りの虫歯の治療を終わらせます万が一矯正治療中に虫歯ができた場合はそのたびに治療を行っていくことがありますのでご安心下さい。
Q3. 使用中に会話などの支障はありますか?
→最初は滑舌が悪く感じられるように思われるかもしれませんが1週間程度で慣れてきて発音障害も改善する傾向が皆さん見受けられます。
また患者様の中にはワイヤー治療による矯正治療よりもマウスピースによってトランペットや管楽器などの音楽をスムーズに行うことができる方の方が多いです。
Q4. 何歳までならマウスピース矯正を行うことができますか?
→矯正治療に年齢制限はなく、40代~60代の方々もマウスピース矯正や ワイヤー矯正を受診している方が多くいらっしゃいます。
特にマウスピース矯正は目立ちにくい装置を使うため、矯正治療の外観を気にすることなく治療することができます。
Q5. なるべく強制していることを人にバレないようにしたいのですがどうすればよいでしょうか?
→どうしても大人と向き合うにあたって瞳が口元に入ると自分自身も心配になったり不安になったりしてしまうためこちらに関してはマウスピース矯正をお勧めいたします。
Q6. 費用を分割にしたいのですが可能ですか?
→費用の分割に関しては、クレジットカードを利用した支払い方法や、デンタルローンを利用した支払い方法が可能です。
詳しくは受付スタッフにお問い合わせください。
Q7. マウスピース矯正による食事の制限はありますか?
→ワイヤー矯正と比べると、マウスピース矯正の食事制限はほとんどありません。
ただし、マウスピース自体が20時間以上の使用時間が必要となるため、それ以外の時間であれば着脱していただいて構いません。
また、マウスピースを使用したままの状態でお食事を召し上がることがなければ、特に支障はないと思われます。
Q8. ブリッジやインプラントがあるのですが、マウスピース矯正はできますか?
→ブリッジやインプラントがある場合、その部分は動かすことができません。
そのため、状況によってはマウスピース矯正の適用不可となる可能性があります。
ドクターに一度ご相談ください。