マウスピース矯正

マウスピース矯正は、近年特に人気を集めている矯正方法の1つです。
透明なプラスチック製のマウスピース（アライナー）で歯全体を覆うように装着し、段階的に歯を動かしていきます。
従来のワイヤー矯正と比べて、装置が目立ちにくく取り外しが可能なため、食事や歯磨きの際も快適に過ごせる点が人気の理由です。

1枚のマウスピースで歯をおよそ0.25mmずつ移動させるように設計されており、1〜2週間ごとに新しいマウスピースへ交換します。
これを繰り返すことで少しずつ歯並びを整え、最終的に理想の歯並びを目指します。

マウスピース矯正の治療期間には、歯を動かす「動的期間」と整えた歯並びを安定させる「保定期間」があります。

動的期間

動的期間とは、実際に歯を動かして理想の歯並びを作るための治療期間を指します。
マウスピースを1日22時間以上装着し、1〜2週間ごとに交換しながら歯を動かします。
動的期間は歯並びの状態によって異なりますが、全体矯正の場合は1〜2年ほどが一般的です。

保定期間

保定期間とは、動的期間で動かして整えた歯並びを保つための期間です。
動的期間が終了した直後は歯並びが安定しておらず、元の位置に戻ろうとする力が働きます。
そのため、保定装置（リテーナー）を規定の時間だけ装着して、歯の後戻りを防ぐ必要があります。

マウスピース矯正では、歯に一定の力を加えることで歯を少しずつ理想的な位置へ移動させていきます。
歯の根の周囲には「歯根膜（しこんまく）」と呼ばれる薄い膜が存在し、歯を骨に固定すると同時にクッションの役割を果たしています。
この歯根膜に矯正の力がかかると、一方では圧迫され、反対側では引き延ばされる状態が生じます。
圧迫された部分では骨が徐々に吸収され、引き延ばされた部分では新しい骨が形成されることで、歯が少しずつ動いていくのです。

この現象は「骨のリモデリング（骨改造）」と呼ばれ、矯正治療の基本的なメカニズムとなります。
マウスピース矯正では、1枚のマウスピースにつきおよそ0.25mm前後というわずかな移動量が設計されており、1〜2週間ごとに次のマウスピースへ交換する仕組みになっています。
この段階的なアプローチにより、従来のワイヤー矯正に比べて痛みや違和感を軽減しながら、確実に歯を動かすことが可能になります。

マウスピース矯正では、狙った位置へ正確に歯を動かしていくために「アタッチメント」と呼ばれる小さな突起を使用します。
アタッチメントは、歯の表面に歯科用のレジン（樹脂）を接着して作られる、歯と同じ色の小さなパーツで、大きさは数ミリ程度で目立ちにくく、マウスピースを装着すると外からはほとんど分かりません。
このアタッチメントがあることで、マウスピースがしっかりと歯を捉え、ねじる・引っ張る・押すといった複雑な力を効率的に加えることができます。

特に歯の回転を伴う移動や、奥歯をしっかり引き下げるような難しい動きを必要とする場合、アタッチメントの有無が治療効果に大きく影響します。
言い換えれば、アタッチメントはマウスピース矯正の「補助装置」であり、理想的な歯並びを目指すために欠かせない役割を果たしているのです。

マウスピース矯正の最大のメリットは、装置が透明で目立たないことです。
歯の表側につけるワイヤー矯正よりも圧倒的に日常生活や仕事で他人に気づかれにくいため、矯正治療中の審美性を重視する方に特に人気があります。

矯正を始めるベストタイミングは、歯並びや噛み合わせに違和感を覚えた時です。
早めに治療を開始すれば、期間や負担を抑えられる可能性も高まります。
マウスピース矯正は、永久歯が生えそろう中高生以降から大人まで幅広く行える治療で、透明で取り外し可能なため、学校や仕事に支障が出にくいのが特徴です。
10代後半〜20代は歯や骨の動きが良く進みやすい時期ですが、30代以降でも問題なく始められ、近年では40代・50代で治療を始める方も増えています。

インビザラインは、アメリカのアライン・テクノロジー社によって開発された、世界的に最も普及しているマウスピース矯正ブランドの1つです。
現在、世界100か国以上で導入され、これまでに1,500万人を超える患者さまが治療を受けている実績があります。
この豊富なデータと症例数に基づいたシステムは、他のブランドにはない安心感と信頼性を持っています。

また、インビザラインは精密な3Dデジタルシミュレーションと専用のマウスピース素材を活用しており、歯を細かくコントロールすることが可能です。
従来のマウスピース矯正では難しいとされてきた複雑な症例にも対応できる柔軟性があり、世界中の歯科医師からも高く評価されています。

マウスピース矯正の分野では「スタンダード」と言えるほど権威があり、確かな臨床実績と進化し続ける技術によって、多くの患者さまに選ばれています。

マウスピース矯正は、基本的に保険適用外の自由診療となります。
透明なマウスピースを使って歯並びを整える治療は、見た目や機能性を改善する「審美目的」と位置づけられるためです。
そのため、費用は歯科医院ごとの設定となり、治療計画や使用する装置によって差があります。

ただし、ごく一部の特殊なケース（口蓋裂や顎変形症など、国が定めた条件に当てはまる場合）では、矯正治療が保険適用となることがあります。
この場合でも、マウスピース矯正ではなくワイヤー矯正が対象となるのが一般的です。

そのため、マウスピース矯正を検討する際には「自由診療であること」を前提に考える必要があります。
治療を始める前に、費用の総額や支払い方法、追加料金の有無などをしっかり確認しておくと安心です。

マウスピース矯正は多くの症例に対応できますが、顎の骨格に問題がある場合や歯並びが大きく乱れている場合には適応できないケースもあります。
その際は、ワイヤー矯正単体か併用での治療が必要となる場合があります。

マウスピースを装着したまま食事をすると、破損や変色の原因になります。
また、糖分を含む飲み物を装着したまま摂取すると、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
マウスピースでの矯正治療中は、飲食の際は必ず取り外し、装着前には歯磨きを行うことが必要です。

マウスピースは取り外し可能なため、紛失や破損に注意する必要があります。
マウスピースを紛失した場合は、追加費用や治療期間が延びる可能性があるため、注意してください。

矯正終了後も歯並びを維持するためには、歯科医師の指示通りに保定装置を装着する必要があります。
これを怠ると歯が元の位置に戻る「後戻り」が起きて、歯並びや噛み合わせが乱れることがあります。

くろさわ歯科医院では、マウスピース矯正をご検討中の方に向けて、矯正を専門とする歯科医師による無料相談を行っています。
相談の場では、治療の流れや期間、費用の目安などについて丁寧にご説明し、患者さま一人ひとりの疑問や不安にしっかりとお答えします。

最新の口腔内スキャナー「iTero（アイテロ）」を用いた無料の簡易シミュレーションも実施しています。
治療前後の歯並びの変化をその場で3D画像としてご確認いただけるため、治療後のイメージを明確に持ちながら安心して矯正をスタートできます。

歯並びや噛み合わせでお悩みの方はもちろん、他院と比較して検討中の方も、まずはお気軽に当院の無料相談をご活用ください。

iTeroは、お口の中を専用スキャナーで撮影することで、わずか数分で精密な3Dデータを作成できる機器です。
従来のように粘土のような印象材を使用する必要がなく、負担や不快感が少ないのも大きな特徴です。

取得したデータはすぐにモニターへ映し出され、現在の歯並びの状態を確認できるだけでなく、矯正治療を進めた場合のシミュレーションも可能です。
「どのくらい歯が動くのか」「治療後にはどんな歯並びになるのか」といった疑問に対して、視覚的にわかりやすいイメージを提供できるため、治療を始める前の不安を大きく解消できます。

iTeroを活用することで、患者さまと治療後のゴールを共有し、納得感をもって矯正治療に臨んでいただけます。